洗い張りとは、着物を解いて反物にしてから、専用の石鹸・洗剤等を用いて水で洗うことです。 着物にとって最も適した昔から伝わるお手入れ方法です。
着物を水に通すことでよれよれだった着物が見違えるほど甦り、水溶性や油性のシミも少々のシミであれば、洗張りでほぼ綺麗になります。
しかし、着るためには仕立てる必要があるため、やや高額になりがちです。
洗い張り
着物を解く
洗張りや染め時には必ず着物を解くことが必要なため、このように、表・胴裏・八掛けと着物を解体します。
端縫い(はぬい)
着物を解いて、つなぎ合わせることを端縫いといいます。 画像では八掛けを端縫いミシンで繋ぎ合せていますが、その昔は専ら手縫いにて繋ぎ合わせる時代でした。
洗い張り 泡立て
洗張りをしています。水溶性の洗剤と石鹸を使用し、ささらと言われる道具でダイナミックに泡立てながら洗浄していきます。 もちろん金加工、銀加工、刺繍や箔など細心の注意を払いながら洗います。
洗張りの干す工程(八掛)
泡立て洗浄の後は十分に濯ぎ、反物状の着物を専用の干し場で干して乾かしています。
画像は八掛です。 完全に乾いたら、湯のしの工程へ移ります。
洗張りの干す工程(胴裏)
上記同様、胴裏を干しています。
やまたの洗張りは、表生地・八掛・胴裏を全て洗います。
湯のし
洗浄が終わった後、湯のしします。
湯のし機に反物を通すことで、折スジを消したり幅を整えたりしつつ、着物がもつ艶や柔らかさ滑らかさを与えます。
画像1)
画像2)
洗い張り 仕上がり
洗い張りの最終工程です。
湯のしを終えると最終点検をしつつ、閉じていきます。 もし、湯のし終了後に落ちていないシミがあった場合は、染み抜き作業を行います。
※やまたでは、洗い張りで落ちていない標準的な染み抜きも洗い張り料金に含まれています。
画像1)
表(本体)、胴裏、八掛けが閉じられています。
画像2)
洗い張りが完了しました。
納品となります。
洗い張りのながれ
洗張りのながれについて
- お預かりした着物を管理するためにしぶ札(※)を付けます
- 着物を解きます
- 解いた着物を端縫い(※)ます
- 洗います
- 干します
- 湯のしします(※)
- 検品
- 閉じていきます
- 納品です
※しぶ札
耐久性に優れた特殊な和紙。
着物を管理するためにその着物についての情報を書き入れています。
※端縫い(はぬい)
解いた着物を反物の状態に縫い合わせます。昔は手縫いで繋ぎ合わせてることもありましたが、今日では専用のミシンを使います。
※湯のし
水洗いを施した着物は縮んでいたり、しわが出来たりしています。 湯のし機械(幅出し機械と言ったりもします)を通し蒸気と熱を加え幅を出し調整することで、綺麗な反物状態に復元することが出来ます。
やまたの洗張りと丸洗いについて
やまたの「洗張り」「丸洗い」には、標準的な染み抜き(※)が通常の料金に含まれています。
着物全体を丹念に見させていだだき、洗い作業を行います。そしてシミがあれば落として美しく仕上げます。
※標準的な染み抜き
やまたの言う標準的な染み抜きとは、襟の汚れや袖口の汚れ、汗抜きや食べこぼし、雨濡れ、泥はねなど着用していたら汚れてしまった、というようなシミのことです。
※別途料金となる染み抜き
標準的な染み抜きに対して別途料金のかかる染み抜きとしては、金・銀箔の修正、地直し(色掛け)が必要となる変色したシミ、古くて固着してしまった血液、古くて固着してしまったタンパクのシミ、広範囲に汚れたシミなどを考えています。